2009年5月27日水曜日

照明の明るさや色が、心理にどのように関わってくるか教えてください

みんなに「環境心理学で何を学びたい」と問うと、一番多いのがこの手の質問で
す。これから始めてみましょう。
 
明るさの指標の一つに照度があります。掌を上に向けて見た時、それがどれだけ
明るく見えるかと対応する指標だと思ってください。その値が大きくなるほど、
照明環境は好まれます。人は明るい場所が好きなのです。虫は街灯に引き寄せら
れますが、人も向こうに明るいところがあると行ってみたくなります。これも、
明るい場所が好きだということを表していそうです。
オフィスや商業施設は明るいことが多いですが、これは覚醒(arousal)が高ま
ることと関係しているでしょう。一方、音楽を聴きつつワインを楽しむシチュ
エーションであれば、照明は暗くなりそうですね。リラックスした状態は、低照
度でもたらされることが多いと言えると思います。
面白いのは、高照度には青白い光が、低照度にはオレンジ色の光が似合うという
実験結果があることです。蝋燭の仄かな光から、蛍光灯の均一な明るさまでをイ
メージしてみると、確かにだんだん青白くなるのが自然な感じがします。
そう言えば、朝日の時刻から昼、昼から夕方の屋外の光の状態を思い浮かべる
と、色と明るさが上述のように変化しています。人の好みは、長い間生活してき
た自然界の光の状態の影響を受けているのかもしれませんね。...遺伝子に組
み込まれている!?
 
K. Maki