ました。それが、どのように環境デザインに応用されているのか知りたいです。」
授業も終わりに近づいた先頃、こういう趣旨の書き込みをもらいました。
人と人の関わりを考慮するのは建築設計の常であるから、取り立てて言うほどの
ことはない。どこでも考慮されているという意見もあるでしょう。しかし、オズ
モンドとソマーが病院の待合を改良したとき、それは会話を促進するようには
なっていなかったのです。待合いの時間を楽しく過ごしてもらうにはどうしたら
いいか、という気づきがなければ、ただ椅子を並べただけになるということで
しょう。
さて、そうは言っても、取り立てて言うほどの事例がどれほどあるのか...。
私が思いつくのは茶室です。2畳ほどの極めて狭い空間に豊臣秀吉を招き入れた
利休は、その空間では対等な、もしくは自分の方が優位に感じていたかも知れま
せん。あえてパーソナルスペースの内側に入らざるを得ない状況を作り出したこ
とが、そういった人間関係の場面を生んだと考えられるように思います。
もっとも、それを秀吉が許せなかったから切腹させられたのかもしれませんが。
今春、京都の山崎まで行く機会があったのですが、『待庵』は訪れずじまいでし
た。中に入れないのなら、意味がないかと思って。
少し話題がずれました。
その他の事例についてはコメントで書き込んでいただけるとありがたいです。私
も思いつけば追加コメントしたいと思います。
おはようございます。
返信削除元 情報処理の講義でお世話になりました、さのです。
ご指摘のように、距離はおそらく経験則として
地味にデザインに反映されているのだと思います。
モノ自体が人の位置を決めてしまうような用途のモノの
デザインの比較、
例えばパーソナルスペースでいえば、(会話する前提で
つくられている)食卓のテーブルの幅と、(会話をしない、
避けたい)図書館の共同机の幅(それぞれ椅子が対面する
向きでの)を測って距離を比べてみるのはどうかしら・・・・
なんて学生さんにアイデアを振ってみたりして。
S. K. さんのコメントを転載します。(メーリングリストで書き込みをお願いしたら、メーリングリストに書き込まれたのでした。まあ、その方が手間が省けるので、気持ちは良くわかるのですが...。私の気づかなかった事例が紹介されているので、転載の許可をいただきました。)
返信削除ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
この質問に対する答えというか、次の矢を放つような指摘としてきわめて古典
的ですが、空港の搭乗待ちのベンチの配置を思い出して、というのが有るでしょう。
日本では飛行機に向かって同一方向に配置されているが、欧米の多くの空港で
は向かい合う配置が一般的。さて、日本で向かい合う配置、欧米で向かい合っ
ていない配置の経験は有るか、とか(これは病院の待合室でも同様かな)。
で、距離について言えば、ボックスシートでの膝の間隔はデザインされている
のか。個人的印象から言うと、フィックスされている普通席は意識的なデザイ
ンはされていないと思う。明らかに物理的に膝がぶつかるくらいだから(常磐
線の経験)。経済優先ですね。さてグリーンはどうかしら? これは東海道本
線と同じデザインのように見えますが(車いすアクセスを一切考慮していな
い、時代遅れと言うしかないデザイン)。
もちろん最初に挙げた席の向きと関連して席の間の寸法は、という質問も有る
わけですが、事例が少ないと思われるので、データを示しての説明は難しそう。
続きのメールで...。
関連で補足すると、日本の電車のベンチシートの両側に座って会話を交わす外
国人のグループがときどきいますが、これも向かい合って設定されている空港
の待合と同じくらいの距離だからかな? 日本人はそういう会話をめったにし
ないですね。多くは座っている人とその前に立っている人、という位置関係で
話をしているのでは?
佐野さん
返信削除お久しぶりです。佐野さんらしいコメント、微笑でした。
学生によく事例について訊ねられます。それはどうですよね。実際、どう活用されているのか、気になります。
身近な事例でも、有名建築でもいいのですが、わかりやすい事例が見つかると理解が進むと思います。
それと、実際に測ってもらうのも実感してもらえるので良さそうですね。来年、体験プログラムを入れてみようかしらん。